Leaper's Night「事業共創は、なぜ進みにくいのか?」に登壇【イベントレポート】
「Leaper’s Night」はアドライトが主催する、企業内で新規事業を推進する「イントレプレナー」が企業や業界の垣根を越えて集まり、課題の共有や知見の交換をする貴重な機会です。
東京で開催した「Leaper’s Night 『事業共創は、なぜ進みにくいのか』」に登壇し、CO2資源化技術「メタコル」の研究開発経緯や事業化に向けた挑戦についてお話しさせて頂きました。メタコルのテクノロジーに加えて、メタコルが直面している新規事業開発という難題に関しても参加者の皆さんと懇談させて頂きました。
当日の様子が【イベントレポート】としてアドライトより発信されました。講演だけでなく、会場とのインタラクションの内容も丁寧に記録されています。ぜひご覧頂き、次回ご参加いただく参考にして頂ければ幸いです。
新規事業開発に悩むあなたのため息が、笑顔に換わる。あなたの課題解決に、メタコルをお役立てください。
(以下、出典より転載)
【イベントレポート】Leaper’s Night 『事業共創は、なぜ進みにくいのか』
addlight journal 編集部
本イベントは株式会社アドライトが主催する「Leaper’s Night」の第4回目として開催されました。「事業共創は、なぜ進みにくいのか」をテーマに、GX領域における社内起業家とスタートアップが抱える課題について議論する場として設けられました。
このイベントは、新規事業開発において「事業共創は進みにくい」という課題を解決するためのヒントを提供します。企画部門と事業部門の連携不足、組織の壁といった問題を解決するため、同じ課題を持つ事業会社同士が横のつながりを作り、真の共創を目指すことを目的としています。
■metacol™とGX新事業のナラティブ :MUIC Kansai 馬場将人様
馬場様は「metacol™とGX新事業のナラティブ」というテーマで、CO2を原料とする次世代素材メタコルの事業化についてご講演されました。
・背景と技術概要
馬場様は10歳の頃から地球環境問題に危機感を持ち、科学者を志しました。大学では生物学を専攻し、光合成やバイオ燃料の研究に従事した後、住友電工に入社しました。住友電工では金属工学が主流の中、バイオ分野出身の馬場様は新規事業開発に取り組むことになりました。
メタコル技術は、鉄とCO2と水を混ぜることで炭酸鉄を生成し、CO2を吸収する技術です。水素も電気も熱も不要で、常圧・室温で反応が可能という環境負荷の小さい技術として開発されました。この技術により、従来コストだった鉄くずとCO2を収益モデルに転換することを目指しています。
・事業化への取り組み
収益化の難しさを認識した馬場様は、まずCO2活用の認知度を高めるアプローチを採用しました。ゴルフティーやすみっコぐらしコラボグッズなど、一般の方に理解されやすい製品を開発し、企業のサステナビリティ経営に貢献するギフトとして提供しています。
また、自治体との連携も積極的に進めており、大阪府とはカーボンニュートラルコンソーシアムを発足させ、市民参加型のCO2活用社会の構築に取り組んでいます。
・新規事業開発の心得
馬場様は新規事業開発において、以下の重要なポイントを共有されました:
外部パートナーとの連携:社内だけでは限界があるため、外部との連携が不可欠
情報のオープン化:技術情報を適切に外部に出すことで、ニーズとシーズのマッチングを実現
失敗学の活用:過去の失敗事例を参考にしつつ、その逆を行くアプローチの重要性
セレンディピティの重視:偶然の出会いを大切にし、セミオープンイノベーションを実践
■大企業連携の期待とリアル :株式会社Circloop 中村周太様
中村様は「大企業連携の期待とリアル」というテーマで、リユース容器のシェアリングサービス「サークループ」について講演されました。
・サービス概要
サークループは「使い捨て感覚の捨てない循環」をキャッチコピーとするリユース容器のシェアリングサービスです。使い捨て容器と同じような感覚で使えながら、資源の循環につながるサービスを提供しています。
リユース容器の洗浄、配送、回収をフルサービスで提供し、発注側の管理の手間をなくし、清潔な容器を継続的に届けるシステムを構築しています。ユーザーは使って返すだけという使い捨てと変わらない気軽さで利用できます。
・環境負荷削減効果
カーボンフットプリントの計算により、使い捨てに比べてリユースシステムに切り替えることで約70%のCO2排出削減が可能であることが実証されています。また、廃棄物については100%削減を実現しています。
特筆すべきは、リユースシステムを使うことでユーザーの意識変化が生まれることです。約3分の2の方が環境への意識や行動が変わったと回答しており、単なる環境負荷削減を超えた価値を提供しています。
・事業実績と展開
月間15万回の容器循環を実現し、コワーキングスペース、企業オフィス、自治体施設など幅広い場所で活用されています。品川区とはリユース容器の連携協定を締結し、自治体レベルでの取り組みも進めています。
・大企業連携の課題
中村様は大企業との連携において、以下の課題を共有されました。
キーパーソンとの出会い:共創部門との接点はあるが、実際の事業推進者との出会いが困難
評価・成果への貢献:大企業側の評価や成果にどう貢献できるかの明確化
優先順位の確保:多忙な大企業担当者にとって優先的に取り組んでもらえる価値の提示
■パネルディスカッション:事業共創における課題と突破口
木村をモデレーターとして、馬場様と中村様によるパネルディスカッションが行われました。
・馬場様の経験から
馬場様は事業共創において、自社の製造力を活かしつつ、マーケティング力の不足を外部パートナーとの連携で補完するアプローチを取っています。重要なのは相手企業への「リスペクト」であり、相手先のことを十分に調べ、その会社に刺さる提案を行うことで多くの企業から関心を得ています。
農業装置の事例では、技術シーズを持つ住友電工と、販売チャネルを持つ事業会社という相互補完的な関係が成立し、最終的に技術譲渡という形が成立しました。
・中村様の課題
中村様は、サービス自体は経理総務部門のニーズにマッチしているものの、その先の企業との深い連携に課題を感じています。サービスが当たり前になりすぎて薄まってしまう問題や、適切なキーパーソンとの出会いの難しさを挙げています。
■GXの解釈と将来展望
・馬場様のGX観
馬場様は、GXを日本の国益と結びつけて考えています。日本は北米のような安価な再生エネルギーや穀物資源を活用したエネルギー安全保障は困難であるため、鉄くずやCO2といった国内の排出物を活用した独自の素材開発で国際競争力を高めることを目指しています。
・中村様のスケール戦略
中村様は、サーキュラーモデルの解像度を高めることでスケールを実現しようとしています。人口が集中し産業が集積している場所でのリユースシステム転換を通じて、最終的には社会インフラとしてのリユースシステム構築を目指しています。
■環境ビジネスの収益性について
会場からの質問で環境ビジネスの収益性について議論されました。
馬場様は、化石燃料価格の高騰、輸出規制、環境規制により、原料が値上がりしており、国内の排出物を活用して製造する素材は将来的にコスト競争で勝てると説明しました。
また、規制とセットでの市場形成を協議するコンソーシアムの重要性も指摘しました。
中村様は、単価では使い捨てに勝てないものの、リユースシステムに切り替えることで容器使用数が40%削減されるため、トータルコストでは競争力があることを示しました。
■ポジティブな価値創造について
会場から「ネガティブを減らすだけでなく、ポジティブな価値を生み出すことでワクワク感を創出できないか」という質問がありました。
中村様は、企業オリジナルデザインのカップによる従業員のエンゲージメント向上や、紙コップより美味しくコーヒーが飲めるという体験価値の提供について言及しました。これらの付加価値により、単なる環境負荷削減を超えた魅力的なサービスとして展開していく可能性を示しました。
このパネルディスカッションを通じて、事業共創における実践的な課題と解決策、そして環境ビジネスの将来性について深い議論が交わされ、参加者にとって有益な知見共有の場となりました。
出典:https://journal.addlight.co.jp/archives/20260708-leapersnight/